約束通り、退院後園田競馬場に連れて行ってもらった。
そこで見た景色はテレビで見るより遥かに広い!そして、馬が目の前を歩いている!
興奮気味にはしゃぐ僕。
それを見て、微笑む父親。
初めて父親との楽しい思い出が園田競馬場だった。
僕はパドックで馬を見て興奮、返し馬で興奮、レースで興奮と常に興奮していた。
父親は馬券を買っていたが、すこぶる調子が悪かったらしく結構負けていた。
最終レースを前に帰ることになったが、僕にとっての競馬場デビューは「感動と興奮」の一言だった。
帰りの車の中でもずっと馬について語る僕、それを適当に聞き流す父親。
今思えば、父親は少しイライラしていたのだろう。
家に着くと母親はご飯の支度、僕は珍しく父親とお風呂に入った。
お風呂の中でもずっと競馬の話をした。
その時の父親の表情は少しイライラが収まり、笑顔で話を聴いてくれた。
ご飯を食べ終わり、父親が僕を近くの本屋に連れて行ってくれた。
その本屋で父親は馬の写真がいっぱい載っている本を買ってくれたのだった。
僕はその本をずっと熱心に読んだ。
大事に大事に寝るときも枕元に置いて寝た。
しかしその数ヶ月後、もっとすごい経験をするのだった。
続く
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